第1章 01 入学式

2/5

165人が本棚に入れています
本棚に追加
/167ページ
穏やかな日差しが俺を照りつける その暖かな光が学園内の木々の隙間から零れ落ちている 「君が高宮郁人君で合ってる?」 ふと、背後から声をかけられた 「え…?」 思わず振り向くとそこには美しい翡翠色の瞳が印象的な亜麻色の髪をした少女 案外高身長だろうか 「あぁ、そうだけど?」 俺が返事をすると同時に彼女は頷いた 「…やっぱりそうか。私は九条院藍。よろしくね?高宮君」 藍という彼女はにこりともしない 彼女の性質なんだろうか 「宜しく。九条院さん」 俺がつき出した片手を彼女はそっと握って 「高宮君みたいな人初めて知ったかも」 意味深な言葉を呟いた 「え? ……俺みたいな人が初めて?」 問いかけると、彼女は頷いた 「うん。私の家って結構有名だから… 高宮君みたいに接してくれた人は初めて」 九条院といえば、世界でも有数の天才を輩出する家系で有名だ そう思い出す 「…あぁ、確かに九条院一族は有名だけど、別に九条院さんは九条院さんだろう?」 家柄で価値は決まらないと思うんだ 「…やっぱり、高宮君は変わってるね。君となら仲良く出来そう。 じゃあ、また後で」 彼女は俺に軽く手を振ってから体育館に向かって行った 彼女の長い栗色の髪がふんわりと揺らいですれ違う人々を魅了する これがちょっとした始まりだった
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

165人が本棚に入れています
本棚に追加