第一章

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深夜になり、皆が寝静まったあと、私は家の外へ出る。 前に住んでいた田舎に比べ、東京という街は夜でも明るい。 本当に人間という生き物は、生きる価値もない生き物だと思う。 酔っぱらった親父。 色気をふりまく女達。 堕落した男達。 そして、私。 汚い街に紛れると心は無になれる。 周りの男達に執拗に迫られたが無視する。 私が行く先は人のいない公園。 まわりに団地もなにもない。 遊具も少ない。 花も草も少ない。 私にぴったりの場所。 ただ、今夜は様子が違う。 誰かがいるようだ。 歌声が聞こえる。 男の人のようだ。
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