第一章

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歌などほとんど聞かない私が耳にして本当に心地よかった。 しかしあまのじゃくな私の心は同時に嫉妬を覚えた。 この声の主は幸せな人生をおくっているのだろうと。 しかし歌詞を聞いていると不思議と気分が落ち着いてきた。 優しい歌声のわりに歌詞が悲しく寂しい歌だったから。 木陰に座り込み聞き入った。 数曲歌い、彼は黙りこんだ。 気づかれたのだろうか…? 私はドキドキしながら息を殺していた。 そしてまた彼は歌い出す。 「暗闇の中、更に闇を探し迷い続ける人道迷路。何の為に生き、誰の為に生きるのか。」
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