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私はハッとした。
一気に昔の思い出がフラッシュバックした。
闇から逃げ出していたはずだったのに、結局今私が立っているのもまた闇。
知らず知らずに涙が溢れる。
「なんだ、誰かいると思ったら、女の子か。」
振り向くと身長は180㎝ぐらいで黒髪に眼鏡をかけた青年が立っていた。
「あっ…」
「逃げなくていいよ。僕も逃げてるから。」
青年は優しく微笑んだ。
「俺は愁夜。君の名は?」
「か、閑梛…。」
「そう、閑梛っていうんだね?うち近くなの?」
「はい…。」
「ご両親心配してない?」
「大丈夫です。バレてませんから。」
「そう、ならまだ大丈夫だね。」
言ってる意味がわからない。
私の頭は緊張と恐怖でぐるぐるしている。
「混乱させて悪いね。落ち着いて聞いてね。」
そしてまた優しく歌い始めた。
悲しくて切ない歌。
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