第一章

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私はハッとした。 一気に昔の思い出がフラッシュバックした。 闇から逃げ出していたはずだったのに、結局今私が立っているのもまた闇。 知らず知らずに涙が溢れる。 「なんだ、誰かいると思ったら、女の子か。」 振り向くと身長は180㎝ぐらいで黒髪に眼鏡をかけた青年が立っていた。 「あっ…」 「逃げなくていいよ。僕も逃げてるから。」 青年は優しく微笑んだ。 「俺は愁夜。君の名は?」 「か、閑梛…。」 「そう、閑梛っていうんだね?うち近くなの?」 「はい…。」 「ご両親心配してない?」 「大丈夫です。バレてませんから。」 「そう、ならまだ大丈夫だね。」 言ってる意味がわからない。 私の頭は緊張と恐怖でぐるぐるしている。 「混乱させて悪いね。落ち着いて聞いてね。」 そしてまた優しく歌い始めた。 悲しくて切ない歌。
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