雨が降る前に

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「つぐみー?どしたの?行くよ?」 その声に、うん、と頷き視線を窓から離した。 止めていた足をゆっくりと動かしながら、何でもないことのようにまた友人たちの輪の中に戻って並んで歩く。 いつものように会話にするりと溶け込みながら、意識はそこにない。 私の意識は― 向かいの校舎の1つ上の階、風にはたはたとカーテンを揺らめかせている場所にあった。
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