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「…私、ちょっと用事があるから」
「えー?つぐみ、行かないの?」
「…後から行くね」
そう言って友人たちの輪に背を向けて、1人で来た道を戻り始める。
階段を上り、2つの校舎をつなぐガラス張りの通路をひたひたと歩く。
どんよりとした空がガラスの向こう一面を覆っていた。
開け放された窓から入り込む湿った生温い風に、髪がなびく。
どうして今日なのか。
どうして今なのか。
そんな理由は自分でもわからない。
ただ、行くべきだと直感で思った。
この目で、確かめるべきだと。
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