* 玉の輿の「た」すら見えない頃

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まずは東條さんの座ってる椅子をどうにかまっすぐにしてあげたくて、この書斎から整理整頓を始めることにした。 東條さんが言うようにゴミはないワケだから、ただひたすら片付けていけばいいだけ。 書籍と古新聞は東條さんに聞いて、簡単に仕分けした。 ヘンなガラクタ類は、一旦段ボール箱に入れさせて頂いた。 後で全部の部屋を整頓し終わってから、キチンとした置き場を考えようと思った。 そんな作業をしている最中にも、私と東條さんは色んなことを話してコミュニケーションを深めた。 東條さんは第一印象通り、やっぱりガンコな研究者って感じではなかった。 どちらかというと、どこにでもいる気のいいおじいちゃん。 人と話すのが大好きっぽい。 そしてテッキリ文学関係だと思ったけど、研究してるのは実は樹木についてだとか。 よく見たら、確かに木関係の本がいっぱいだった。 今は大学の客員教授をしているそうな。 息子さんと娘さんが1人ずついるけど、もう自立して遠くにいるんだって。 奥さんとはもうだいぶ前に死別してるそう。
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