* 玉の輿の「た」すら見えない頃

11/69
前へ
/921ページ
次へ
東條さんに尋ねられて、自分の話もした。 私の歳は19。 実家は、ここから遠く離れた人口の少なーい地方の田んぼの中。 両親は小さい時に離婚してて、今はドコにいるのかも分からない。 お父さんが女を作って出て行った後、お母さんが育児放棄して出て行ったっていう、まぁソコソコよくある話。 私は2人の顔を覚えてもないし、恋しいと思ったこともない。 ばあちゃんと、歳の離れたお兄ちゃんとの3人で、ずっと仲良く楽しく暮らしてきた。 ばあちゃんは今でもまだ現役バリバリで働いてるし、お兄ちゃんは実家近くの会社に勤めてて、今でもばあちゃんと一緒に暮らしてる。 ばあちゃんは見た目は全然、『ばあちゃん』って感じじゃない。 サバサバした性格で、格好もオシャレだし、今年30になるお兄ちゃんと一緒に居る所を見れば、知らない人はきっと親子だと思うだろう。 そしてそんな30のお兄ちゃんは、『早く結婚しろ』ってばあちゃんに言われ続けてるけど、…ありゃあ無理だなー。
/921ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9894人が本棚に入れています
本棚に追加