* 玉の輿の「た」すら見えない頃

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何でって…、自分で言うのもツライけど、…極端なシスコンだから…。 私が都会に出て働くって言った日にゃあ、見てて情けないくらいにガチ泣きしてましたから。 ばあちゃんも、一緒にそんなお兄ちゃんを必死になだめてくれて。 そんな2人にタップリ愛されて育ったから、親がいなくても全然淋しいなんて思うことはなかった。 むしろホントに大事に育ててもらったから、誇らしいくらい。 そして、そんな私が都会に出てきた理由はただ一つ。 ばあちゃんの老後を楽にする為に貯金!! いずればあちゃんが仕事を引退したら、私は田舎に戻って一緒に暮らしたいと思ってる。 両親がいなくなってから、ばあちゃんはホントに頑張って私達兄妹を育ててくれたんだ。 お兄ちゃんなんて、ちゃんと大学まで行かせてもらったし。 …私はそんなアタマよくなかったから、大学とか行けなかったけど。 ホントは私も、高校を卒業したら地元の会社に就職したかったんだけど、なぜだかことごとく落ちちゃって。 で、結局バイトするにしても田舎じゃあ月収のタカが知れてるから、一大決心して都会に出てこようと思ったワケだ。
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