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視線だけで斬られそうな迫力にビビりつつも、小さな声で尋ねた。
「…何で…、東條さんは私を…?」
「俺が知るか。」
鷹守さんは少しだけ目を見開いて、ググッと私を覗き込むように言った。
挑戦的というか見下してるというか、とにかくそんな目。
…初めて、この人を心から怖いと思った。
「…そ、そういうことなら…。」
私はクルッと向きを変えてドアノブに手をかけた。
すかさず後ろから鷹守さんの手が伸びてきて、私の手の上から押さえた。
背中から聞こえる低い声。
「どこへ行く?」
「…帰ります。」
「どこへ?」
「…とりあえず…、派遣事務所に。…戻れるか聞いてみます…。私、家政婦ですから…。」
「伊東派遣事務所か。…潰されたいか?」
「……!?」
驚いて後ろを振り返ると、すぐ真上から見下ろす冷たい目。
「東條の力を何だと思ってる?…何年も何年も説得に失敗し続けてきた今、会長がようやく戻ってもいいと言ってるんだ。雅と暁がそのチャンスを逃す訳がない。」
「…そんな大袈裟な…。」
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