* 玉の輿にコンニチワ

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しばらくそうしてボーッとしていたら、軽いノックの後、すぐにドアが開いた。 「ひゃっ!?」 体勢を立て直すのが間に合わなくて、そのままドアと一緒に後ろに倒れそうになる。 「うわっ!?」 その声と共に、ガシッと私の両肩を掴んだのは雅さんだった。 「ビックリした…。」 「…どうも…すみません…。」 ホッと安心の息をつく雅さんと、その顔を見れないまま背中越しに謝る私。 ふわりと雅さんの香水が香った。 雅さんは私をちゃんと立たせると、クスッと笑ってから部屋の中に入ってきた。 「お茶、淹れようか?」 「あ!!じゃあ私が!!」 慌てて部屋の奥のティーセットの方に向かう。 雅さんは微笑みながらソファーに腰かけ、足を組んだ。 動作がいちいち優雅すぎて、思わず見とれそうになる。 しばしの沈黙が流れて、私がお茶を淹れる作業の音だけが響いた。 色々聞きたいことはあったけど、家政婦という職業上、ご主人様の家族に対して自分から尋ねることに抵抗があった。
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