* 玉の輿の「た」すら見えない頃

14/69
前へ
/921ページ
次へ
東條さんは私の為に、鍵がかけられる部屋を用意してくれた。 って言っても、カタンと留め金を落とすだけの簡単なボロ鍵だけど。 『近々ちゃんとお風呂場にも鍵を付けるから』っても言ってた。 まさか東條さんを男として警戒するワケないのに、『そこはやっぱり若いお嬢さんだからちゃんとしないと』って言って譲らなかった。 でも、そうやって紳士的に気を遣ってくれるのは嬉しかった。 …まぁそうは言っても、お風呂場にどんな鍵を付けるつもりか分かんないけどね? 私の部屋の鍵なんて、私でも簡単に壊せそうなヤツだしね? そして私の部屋、ガラクタ置き場になってて、イロイロ大変でしたけどね? キッチンもそれはそれはヒドイ有様だった。 やっぱりゴミがあるワケじゃないんだけど、洗いっぱなしの食器とか、封を開けていないレトルト食品とかがそのまま放置、放置、放置。 不潔とかじゃなくて、ただもうホントに雑多。 どうやらある程度の清潔性は持ちつつの、本気で片付けるコトが苦手らしい。
/921ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9894人が本棚に入れています
本棚に追加