* 玉の輿の「た」すら見えない頃

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「まーまーまー。申し訳ない、春芽サン。…ホラ、お前もイキナリ失礼なんだって。ちゃんと謝れ。」 優しそうな方の人がニコニコしながら割って入ってきつつ、冷たい方の人に諭すように言った。 けれども失礼なソイツは、しれっとして無視を決め込んでる。 …ナニこのヒト? 感じわるーい!! グッと私の眉間にシワが寄った。 「春芽サン、ホントごめんね?…俺らこれでもココんちに関係ある人達だから。」 優しそうな人がクスッと笑いながら、私に握手を求めてきた。 「東條 雅(みやび)です。」 「…トウジョウって…。」 そう呟きながら軍手を取り、エプロンで手を拭いてから、恐る恐る握手に応えた。 「そう。アナタがお仕えしてる東條の息子。」 「…はぁ、そうでしたか。」 …そう言えば、離れて暮らしてる息子がいるって言ってたっけ。 でも息子にしては、ずいぶん若く見えるけど。
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