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「そうとは知らず、大変失礼を致しました。…こちらでお世話になっております、沢口 春芽 です。」
握手の後は気を取り直し、かしこまって丁寧に頭を下げた。
雅さんも笑顔で「コチラこそ失礼を」って、軽く頭を下げた。
その優しげな様子にホッとして、私も微笑み返す。
それはそうとして、じゃあこの失礼なヤツは一体誰なんだろう?と思って、未だに無表情の人を見上げた。
ソイツはまた片眉だけちょっと上げて、「何か?」みたいな表情をしただけだった。
…ちょっと。
ムカつくんですけど。
微笑を浮かべたままピキッとなった私に苦笑しながら、雅さんがその人の紹介をしてくれた。
「俺の秘書。日野 鷹守(ひの たかもり)っていうの。『タカモリ』だから『タカ』。」
…秘書ぉ?
雅さんてまだ若そうだけど、もしかして何かエライ人?
微妙な表情のまま、仕方なく鷹守さんに向かって挨拶をした。
「…どうも、沢口 春芽 で…」
「知ってる。」
かぶせる早さでサクッと切られた。
…何なのこのヒト!?
自己紹介くらいしたっていいじゃないのよ!!
そりゃアナタ達は一方的に私を知ってるみたいですけれども!!
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