9894人が本棚に入れています
本棚に追加
「…雅様、旦那様にお伝えして参りますので、このまま少々お待ち下さいませ。」
私はイラッとした気持ちを押し殺すと、完璧な営業スマイルを作って、雅さんに向けて言った。
あえて雅さんの名前だけ言って、鷹守さんを一瞥もしなかったのは小さな反抗の表れ。
…自分だって秘書のクセに雅さんに不躾な態度じゃん!!
ホント、何でこんなヒトが秘書やってんの!?
「『様』はいいよ。俺も『春芽ちゃん』って呼ばせてもらう。」
優しい雅さんの笑顔と声に、ちょっとダークになりつつあった胸の中がすうっと浄化された。
ホッとして自然な笑顔がこぼれた。
…ホントにいい人そう。
「…では『雅さん』と呼ばせて頂きます。」
鷹守さんがフンと鼻で笑った。
「早速呼ぶ辺りが図々しい。」
「……。」
「タカ!!」
…鎌で刺してもいいですか?
イヤ、ここは刺しとくべきだよね?
最初のコメントを投稿しよう!