* 玉の輿の「た」すら見えない頃

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それから2人を応接室に通すと、東條さんも交えて、3人で何やら深刻そうな話が始まった。 私はお茶出しの後、また庭の草むしりに戻ったけど、それから2時間、3時間経っても、全然誰も出てこなかった。 やがて、夕方に近づいて日が落ちてきた。 …もしかして晩ゴハンも一緒に食べるのかな? あのヒト達の分も用意した方がいいのかな? それも想定して夕食作りに取りかかろうと思い、洗面所で手を洗ってからキッチンに向かった。 応接室の横を通り過ぎようとした時、突然ガチャッとドアが開いてかなりビックリした。 「わあっ!!」 思わず両手を上げたヘンなポーズで固まる。 出てきたのは鷹守さんだった。 ジロリと睨む冷たい目。 「…聞き耳か。」 「なっ!?…ちがっ!?」 「さすが野良猫は躾がなってないな。」 「違うって言ってるでしょ!!」 余りに失礼な物言いにカッときて、つい声が大きくなってしまった。
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