* 玉の輿の「た」すら見えない頃

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「あの」 「まーまー。慣れればすぐに自分ちみたいに思えますよ。」 「そんなイキナリ」 「必要なものは順次揃えていけばいいですから。こちらとしても最大限援助しますし。」 「でも」 「大丈夫大丈夫。若いお嬢さんのプライバシーはきちんと守りますから。自由時間もちゃんとありますよ。」 「イヤその」 「歳をとると独りってのは色々不安でしてねぇ。住み込んでもらえると本当にありがたいんですよ。」 「……。」 「どうぞよろしくお願いしますね。」 「……。」 …もはや聞く耳持たず。 もう東條さんの中で自己完結しちゃったよ。 さりげなくもオソロシイほどの強引さ。 老人に頼られることほど断りにくいものはない。 …っていうかマジですか…。 私、とりあえずは通いがいいんですけど…。
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