* 玉の輿の「た」すら見えない頃

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東條さんは本をパラパラとめくりながら、楽しそうに言った。 「やりがいあるでしょう?こんな部屋が全部で4つほどありますから。…まずは色々片付けてもらいたくてね。アレに触るなとかコレに触るなとかは、一切言うつもりはありませんから。後で何をどこにやったか分かるようにしてもらえれば。…何せ自分でもサッパリ分からん。」 …でしょうねぇ。ホントに。 アッハッハッと笑ってる東條さん。 私はそれまで唖然と部屋の様子を見回してたけど、やがて気を取り直して腕まくりした。 「よぉし!」 フンと鼻息を荒くした私に、東條さんが更に付け加えた。 「もうご存知だと思いますけど、庭もお願いしますよ。…ちなみに裏庭もありますから。あと障子の張り替えも。」 「ハイ!!」 やりがいがあればあるほど燃えるタチの私。 人はそんな私を『ムダに前向き』なんて言うけど、前向きにムダも何もあるかっての!! おーし、頑張るぞ!!
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