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駅を三駅ほど過ぎたところに、あたしの通っている学園がある…らしい。
家を多少早く来たおかげだろう。車内には人はあまり乗っていない。士騎さんの話によれば、普段ならもっとたくさんの人たちに挟まれて通学するはめになるとか。考えただけでも恐ろしい。
電車に揺られること十五分。目的の駅へと到着。ここまでくれば、あとは学園まで目と鼻の先らしい。
駅のホームを抜けると、先ほどとは違いあちらこちらで同じ制服をきた学生が見受けられた。やっぱり学園が近いからだろう。
近いからなんだけど…今のあたしにとっては近いようで遠いようにも感じられていた。なぜなら…。
「この坂を登るんですか…?」
あたしの目の前には長い長い…坂道があった。
「結構有名な坂なんだよ。長いし、傾斜はきついし。まぁ、この坂さえ登っちまえば学園だからさ」
「登れば…ですか」
毎日毎日、この坂道を登っていたなんて…以前のあたしって凄かったんだな。
「ぼーっと突っ立ていてもしょうがないから。登るぞ」
「は、はい…」
がんばれ、あたし!
握りこぶしをグッ!と胸の前でつくって気合をいれた。
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