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「な、な、何見てんだ!?この変態兄貴!!!」ドカ!!
「ぶがぁ!!」
俺は足を振り上げて、兄貴の顎に蹴りを入れる。
「い、痛いじゃないか…僕は、ただ男の恐ろしさを教えてあげようと──」
赤くなった顎をさすりながら、兄貴が起き上がる。この白衣を着た変態メガネがなにを隠そうと俺の実の兄である。俺が、こんな姿になってしまったのも、この馬鹿兄貴の所為だ。
「ハァハァ!見物料とるぞ、ゴラァ!」
「え?じゃぁ、お金あげれば見せてくれるの!?」
「本気にすんじゃねぇー!!」ドカドカ!!
「ぐおっ、ぶはぁ!?」
ボディーからのアッパー。技のコンボを食らわしていく。
「仲がいいのは良いのだけど。准くん、そんなことしてていいの?そろそろ、予約の患者さんが来るんじゃない?」
「そ、そうだった!こうしちゃられなかったんだ!」
楓さんに言われて、兄貴は服装を正して診察所の方へと走り出した。全く、予約があるなら忘れるなっての…まぁ、これで有意義にテレビをみる事ができるな。リモコンを拾い上げて、テレビに向ける。
「姫乃ちゃん、ちょっと。ココに座りなさい」
「これ見てからでいい?」
「いいから!ここに、座る!!」
いつもとは違う、楓さんの声の大きさにビク!と体を震わせる。俺は、しぶしぶと楓さんの隣に腰掛けた。
「え~っと…なに?」
俺はちょっとビクビクとしながら、楓さんの顔色を確認する。
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