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「ぁ、楓さん!お久しぶりです」
「なんだ~士騎くんか~。なになに?今日はどうかしたの?」
リビングから玄関の方に少し顔をだして覗き込む。頼むぞ、楓さん。何とか誤魔化してソイツを追い返してくれよ!
「今日は、士郎に用事があったと言うか土産を渡しに来ただけですよ」
「そうなんだ~ありがとう~!」
楓さんは、渡された土産を手に取ってニコニコとしている。
「あの、楓さん。ちょっと聞きたいんですけど?」
「ん?なに?」
「さっき“金髪”の女の子がここから出てきたんだけど…?」
「え?金髪の女の子?」
よし!楓さん、そこで“そんな子はいないよ”って言ってやれ!
「やだな~そんな子、家にはいないよ~」
よく言ってくれた楓さん!最高のお姉ーちゃんだよ!
「おかしいな…確かに出てきたと思ったんだけど。俺、疲れて幻でも見たのか?」
ふ、勝手に自分の勘違いだと思い込んでるがいい!アホめ!とっとと土産おいて帰りやがれ!
「──うん、そうだよ。金髪の女の子はいないけど~。“可愛い”金髪の女の子ならいるよ~」
ちょっと、まてええぇえええぇぇぇ!!!なんで、そうなるんだよ楓さん!?
「よかった~俺、この歳で幻覚が見えるようになっちゃったかと思いましたよ──って!なんで、金髪の女の子がいるんですか!?」
「実はね──」
楓さん、まさか…『その女の子ってのが、士郎くんなのよ~』って、余計なことを言うんじゃ…っ。そう考えただけで、冷や汗がダラダラと額から滲みでてくる。
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