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「あの子、准くんの遠い親戚の子なの~」
「へ~准さんのですか?」
ほ…さすがに楓さんでも、俺が女の子になっちまったとは言わなかったか。あの時、士騎には絶対に知られたくないって言っておいてよかったぜ。
「ぁ、そうだ!ちょうどいいから、上がって行ってよ。お茶入れるから」
な、なん、何だと…!?家に上がらせるつもりなの!?
「い、いいですよ!悪いですし!」
「いいから、いいから!」
楓さんは、士騎の手を引いて無理やり上がらせていく。やばっ、このままだとこっちに来るぞ。二階に上がりたいけど、そこに行くには玄関の前に出なきゃいけないし…キッチンの方へ逃げるしかないか。
「相変わらず…楓さんは強引ですねっ」
「え~そうかな?」
二人は、他愛もない会話をしながらリビングまでやってくる。一方、俺はキッチンの隅の方へと身を隠して二人の会話を聞いていた。
「あれ?姫乃ちゃん、どこ行っちゃったのかしら?」
「姫乃ちゃん…?」
「さっきの金髪の女の子のことだよ。姫乃ちゃ~ん、出ておいで~どこ~?」
なんか、すげぇー呼ばれているな俺。ってか、呼び方が…犬や猫を探しているかのような呼び方だし。俺は、少し顔を出してリビングの様子を伺う。
「あ!そんなところにいたんだ~!」
思いのほか、簡単に見つかってしまった。スタスタ!と俺の方へ駆け寄ってくる楓さんは、俺の腕を掴むと。
「ほら、そんなところに隠れてないで、こっちにおいでってば~」
「い~~~や~~~~だ~~~~っ!!!」
必死になって抵抗するを俺を強引に引っ張り出そうとする楓さん。まるで、駄々をこねる子供とその母親って感じの構図。
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