第三十二話 新生活のはじまり?

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──坂道を少し登り始めて、気づいた事があった。 それは“視線”である。最初は勘違いなのかな?と思っていたけど…やっぱりそうじゃない。 その視線は、あたしだけではなく。士騎さんにも向けられているような気がする。 それになんか、ヒソヒソと話されているし。気になったあたしは士騎さんに話しかけてみる。 「あの士騎さん…。なんであたし達、さっきからチラチラ見られているんでしょうか?」 「あんまり気にするな」 「は、はぁ…わかりました」 何故だかわからないけど触れないほうがいい話題なのかな?最初と態度がちょっと変わった気がするし。 そんな雰囲気がある中で、とある男子グループの集団と遭遇した。 「お~っす!成神!今日も夫婦二人で登校か?」 「羨ましいぜ!」 「う、うるせぇ!夫婦じゃねぇーっての!」 「何言ってんだよ、あんなことされたのにか?」 「だ、だからあれは…こいつが勝手に!」 あ、まただ…あんなことって言われるの。それに…夫婦?え?夫婦って…あの?血のつながってない人たちが唯一家族になれる方法…結婚をして三人くらいの子供たちに囲まれて…それで庭には大きな犬を飼って、慎ましくってもいいから幸せな家庭を築く…あの夫婦!? 「満更でもない顔していたくせによく言うぜ、リア充が!爆発しろ!」 「ってなわけで、姫川さんもコイツに飽きたらいつでも俺のところに来てもいいよ~ほんじゃな」 「何言ってんだよ。おまえのとこに行く女子がいるかっての」 「うるせぇな」 そんな会話を広げながら集団一行は学園へと向かっていた。 「…ったく、あいつら。姫乃も気にするなよ」 「夫婦…夫婦…へ!?は、はひ、気にしないようにしましゅ!」 と言ったものの。学園へと向かっている間、そのことばかり考えるはめになるのは言うまでもなかった。
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