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──坂道を少し登り始めて、気づいた事があった。
それは“視線”である。最初は勘違いなのかな?と思っていたけど…やっぱりそうじゃない。
その視線は、あたしだけではなく。士騎さんにも向けられているような気がする。
それになんか、ヒソヒソと話されているし。気になったあたしは士騎さんに話しかけてみる。
「あの士騎さん…。なんであたし達、さっきからチラチラ見られているんでしょうか?」
「あんまり気にするな」
「は、はぁ…わかりました」
何故だかわからないけど触れないほうがいい話題なのかな?最初と態度がちょっと変わった気がするし。
そんな雰囲気がある中で、とある男子グループの集団と遭遇した。
「お~っす!成神!今日も夫婦二人で登校か?」
「羨ましいぜ!」
「う、うるせぇ!夫婦じゃねぇーっての!」
「何言ってんだよ、あんなことされたのにか?」
「だ、だからあれは…こいつが勝手に!」
あ、まただ…あんなことって言われるの。それに…夫婦?え?夫婦って…あの?血のつながってない人たちが唯一家族になれる方法…結婚をして三人くらいの子供たちに囲まれて…それで庭には大きな犬を飼って、慎ましくってもいいから幸せな家庭を築く…あの夫婦!?
「満更でもない顔していたくせによく言うぜ、リア充が!爆発しろ!」
「ってなわけで、姫川さんもコイツに飽きたらいつでも俺のところに来てもいいよ~ほんじゃな」
「何言ってんだよ。おまえのとこに行く女子がいるかっての」
「うるせぇな」
そんな会話を広げながら集団一行は学園へと向かっていた。
「…ったく、あいつら。姫乃も気にするなよ」
「夫婦…夫婦…へ!?は、はひ、気にしないようにしましゅ!」
と言ったものの。学園へと向かっている間、そのことばかり考えるはめになるのは言うまでもなかった。
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