第三十二話 新生活のはじまり?

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「──失礼しま…すっ」 士騎さんと別れてから、あたしは緊張しながらも職員室の扉を開けた。開けるとコーヒーのいい匂いが漂っていた。 たしか…九条先生って人が担任だと聞かされていたけど。一体どの人がそうなのか検討がつかずにいたが…。 「姫川、こっちだ」 こちらに手を振ってくれる一人の女性が目に飛び込んできた。おそらく、あの人が担任の先生なんだと思う。 小走りでその人の元へと駆け寄った。 「久々だな。姫川、体の具合はもういいのか?」 「え?は、はい…えっと」 「ん?…お、そうだったな」 その人は思い出しかのような表情をしては少し口元を緩ませた。 「私はお前の担任をしている、九条静だ。よろしくな」 「は、はじめまして、よろしくお願いします」ペコリ そうやって、お辞儀をした。 「初めましてか…どうやら記憶喪失ってのは本当のようだな。それに、私も同じ奴に二度も自己紹介をするのは初めてだ」 「あ、すみません…お手を煩わせてしまって…」 「なに良いさ。どうせ、登場回数があまりにも少なく…これを読んでいる読者どころか。作者さえ、私がどういう人物だったかの忘れてしまって少しキャラ崩壊しているくらいだからな」 「えっと…なんの話をしているのでしょうか?」 「おっと…すまんな。こっちの話だ。忘れてくれ。それよりもだ…」 「は、はい」 「実はな、お前が入院をしている間。お前の親御さん…じゃないな。お兄さんから色々と事情は聞いているからある程度は今の現状を理解しているつもりだ。もちろん、理事長から他の先生方にも話は伝わっているから安心しろ」 それを聞いて少しホッとするのであった。
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