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「とは言ってもな。まだ生徒たちには伝えられていない」
さすがにそうだよね。先生たちもどう伝えるべきか悩んでいたに違いない。
「でだ…私はお前に率直な意見が聞きたいんだ」
「えっと…つまりどういうことでしょう?」
「つまりだな。このまま記憶喪失の事は隠しながら、記憶が戻るまで学園生活を続けるのか。それともカミングアウトして学園生活を続けていくのかだ」
そういうことですか。あたしの意見を尊重すると…。
「そんなのはもう決まってます。このまま隠しまま学園生活を送る…なんて事は考えてませんよ。というか、隠せないと思うんで。以前と性格も結構違うようですし…」
「そっか…賢明な判断というか、妥当な判断か。なら、クラスの連中にも協力させようとしよう」
「協力ですか…?」
「あぁ。お前が不自由なく学園生活を送れるようにな」
「先生…ありがとうございますっ」
「おいおい。まだ感謝するのは早いぞ?それに、私だって長いこと教員生活をしているが記憶喪失になった生徒の面相を見るなんて初めてなんだからな」
「それでも…ですよ。感謝します」
「ふっ…そっか。じゃぁ、行くとするか?」
「はい!」
こうして…あたしの学泉生活の幕が開こうとしていた。
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