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「今日あいてる人ー。青陵との合コンあるけど行くー?」
放課後の教室ではお決まりの誘い文句がかけられ、立候補の手もパラパラと上がる。
中高一貫教育の女子校だから周りからはお嬢様学園だと思われがちだけれど、ここ光丘学園はそういうわけでもなく、フタを開ければ普通のJKの集まりだ。
私だって両親が公務員というお堅い家柄であるものの、れっきとした庶民だ。
お隣の青陵学園は全寮制の男子校で、こちらは良家のお坊ちゃんが多く、光丘学園の女子は青陵学園の生徒と付き合えるということがステータスの一つになっていた。
「青陵だって! すみれどうする!?」
ミコちゃんがそわそわした様子で私の席まで飛んでくる。
私もミコちゃんも積極的に合コンに参加できるタイプではないけれど、やっぱり内心は青陵との合コンに憧れる気持ちはある。
「私はいいや。今日は絵を描きに行くよ」
「あ、そっか。ポスター描いてるんだっけ」
「うん。コンクールの締め切り近いからさ。合コンはまた今度一緒に行ってみよう」
お父さんが聞いたら、飛んできて怒りそうな話だ。
もっとも私とミコちゃんじゃ行動力にかけるから、実現するかは分からないけれど。
それでも秘密の約束はわくわくする。
私達は顔を見合わせてふふっと笑った。
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