授業で痛めつけられるあたりこの学園はやはり僕には向いてない

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いつもいつも僕の独白によるワンパターンな始まり方で申し訳ない限りだが、一度整理をつけるためにしていることなので、許していただけるとありがたい。 題名にもあるよう、そもそもここは僕には合っていないと断言できる。 魔法の才能もさほどない。 格闘技をかじってもいない。 戦うことを躊躇する。 いつも臆病で日和見で誰とも争うことなく、傷つこうとも割を食おうとも波風が立たないのであればそれで満足な僕にとって、他人と争い蹴落とし競り合うここは、まさに場違いなことこの上ない。 それは僕も重々承知だ。 だから僕は普通の、なんの変哲もない学園に通おうとしたのだ。 魔族と渡り合える人材を育成する、いわゆるエリートたちを更にふるいにかけ、選ばれし者だけが通うこの学園は子供たちにとって憧れの的である。 兄も、普段はあれだがこと戦闘になると激変する。 姉とワーモンドさんも、コンビを組んでかなりの成績を修めている。 では僕は? 未だにテスト的イベントはないので僕の実力は周りにはバレていない。恐らく期待されているだろう。なまじ兄姉が優秀なのだからなおさらだ。 でも、それもじきに露見する。僕がいかに弱く脆く、そして小さい人間であるかが周りに漏れる。 どうすればいいのだろう。自らの弱さを隠しつつ、上手くかわす方法は。 僕の力は……[膜]の力は……保身のためにしか使えない。 攻撃に転用できないこともない。実際、中等部の頃に一度だけ[膜]で人を傷つけたことがある。 けど……あれは攻撃でも威嚇でもない。ただの無責任な暴力だ。 気分が……暗くなる。 本当に僕はなぜーーこんな学園に通っているのだろうか。 ここに入りたかった人間は山ほどいる。僕の席にはーー他の誰かが座るべきだったのだ。 何もできず何もやらず何も成さず何も残さないーーそんな自分に酔っているような、どうしようもない僕はーー相応しくない。 未来の希望を背負う彼らは……僕の眼には眩しすぎる。
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