同じ顔

2/3
26人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
「ただいま」 「おかえりぃ」 キッチンから顔だけ出すと、ネクタイを緩めながらこっちへ歩いてくる彼 うっとりするくらい色っぽい彼に、お鍋をそのままに飛び出して抱きついた 「ねー、今日泊まっていい?」 彼の背中に手を回しながらおねだり だけど… 何か違和感を感じて顔をそっと見上げる 「俺は大歓迎だけど?」 「えっ?拓さん!?」 慌てて離れると「バレたか残念」と悔しがる顔 「もぅ!陸と拓さん似すぎ!」 「しょうがないじゃん双子なんだから。さて、着替えて来よう」 拓さんが部屋へ戻るのを確認して、キッチンへ戻る 火にかけた鍋を見つめながら、未だドキドキする胸に手をあてる。 顔も声も同じなのに、体は拓さんの方がガッチリしてる…… SEの陸と職人の拓さん。 昔から中身は全然似てないって言ってたっけ 未だ体に残る感覚を思い出すだけでカーッと熱くなる 「どうかしてる」 「何が?」 「キャッ!」 誰もいないと思っての独り言だったのに、いつの間にか背後には拓さんが立っていた。 「上手そうな匂いしてると思って来たら、一人で百面相してたよ?」
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!