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絶体絶命の中、ふと彼女の視界に入ったのは木に刺さる剣だった。
(ハァ……ハァ………いつの間にこんなもの………あった…か?……不思議な剣だな……)
刀身の半分以上は木の中に引き込まれ、ツタが絡まっていることから、かなりの年月からあることが伺えるのにも関わらず、錆一つないその輝きは、今まさに刀鍛冶が鍛え上げたそれと同じだった。
「アンジェロ!貴方だけでも逃げてください!それが私の務めでス!!」
「………かける……」
「はっ……?!」
「私はこの剣にかける!!」
彼女はそういって持ち手に手をかけると、足を踏ん張り力一杯剣を抜こうとする。
「なっ!?いつからそこに剣がーーーってそんなことより魔物が」
魔物は、二人が剣に気を取られた瞬間をチャンスと見て、全力で迫ってきた。
「アンジェロ!剣は置いといて回避を!!」
「抜けろぉぉぉぉ!このアホ剣がぁぁぁああ!!」
魔物達が辿り着くより一瞬早く、彼女の声と共に剣は抜けた。
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