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「・・・何かいいことないかなぁ」
今日も平凡だ。
友達が話しかけてくる。放課後何をするか聞いてくる。
何するかって言われてもねぇ・・・。
アタシ、両親がいないからな。
普通に家に帰って、テレビでも見て、ゲームして、本読んで。
考えるだけで何か虚しくなってくる。
一見普通の女子高生、霞 まり。
学力は学年一。運動もできる。いわゆる、文武両道って奴だ。
しかし、まだ幼い頃、両親が行方不明になった。
両親のことについて知っていることは、
政府の人間であったこと、ただ一つ。
両親が行方不明になって以来は親戚と暮らしている。
・・・さてと、部活も終わったし、帰るか。
「まり、ちょっといいか。」
「?」
校長に呼び出されたため、まりは校長について行った。
校長室に着いたまりは、校長から文字がびっしり詰まった書類を受け取った。
「政府からだ。〝キリナ〟に行って欲しいらしい。
〝キリナ〟に行く理由などが書いてある。
信じるかどうかはお前次第だが」
その書類には、意味のよく分からない言葉がたくさん載っていた。
『死神』という特殊体質だからとか、日本を立て直すためだとか、〝キリナ〟は日本の平成時代みたいなところだとか・・・。
すべての内容が胡散臭かったが、一度行ってみたいと心の中で思っていた。
「実際に行った人もいる。
実在するのだろう。
行くか?」
前から、日本を変えたいとは思っていた。
何に対しても、実行するのは宣言してから1年ほど経ってから。
綺麗事を並べるだけで、行動には移さない。
それが今の日本だ。
〝キリナ〟に行って、日本を変えられるなら安いもんだ。
それだけで日本を救えるなら・・・
「行く。〝キリナ〟に行きます!」
そう言うと校長は、〝キリナ〟への行き方など、大事なところを優しく説明してくれた。
「俺にも、詳しいことはわからない。
だが、ただ一つ。
〝キリナ〟での生活はそう甘くはない
ということだけは言える。」
「・・・。」
話が終わると、学校に置いていた荷物を持ち帰る準備をした。
「今日の午前1時、近くのカナリア教会に行くんだぞ。
そこで、〝キリナ〟に連れて行ってくれる
〝キリナ〟人の男性が待っているらしい。」
「はい。」
「一応、お前は転校したとみんなに伝える。」
校長と教職員にお礼を言って、まりは学校を出た。
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