Memory:01 〝Another world〟の存在

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「・・・何かいいことないかなぁ」 今日も平凡だ。 友達が話しかけてくる。放課後何をするか聞いてくる。 何するかって言われてもねぇ・・・。 アタシ、両親がいないからな。 普通に家に帰って、テレビでも見て、ゲームして、本読んで。 考えるだけで何か虚しくなってくる。 一見普通の女子高生、霞 まり。 学力は学年一。運動もできる。いわゆる、文武両道って奴だ。 しかし、まだ幼い頃、両親が行方不明になった。 両親のことについて知っていることは、 政府の人間であったこと、ただ一つ。 両親が行方不明になって以来は親戚と暮らしている。 ・・・さてと、部活も終わったし、帰るか。 「まり、ちょっといいか。」 「?」 校長に呼び出されたため、まりは校長について行った。 校長室に着いたまりは、校長から文字がびっしり詰まった書類を受け取った。 「政府からだ。〝キリナ〟に行って欲しいらしい。  〝キリナ〟に行く理由などが書いてある。  信じるかどうかはお前次第だが」 その書類には、意味のよく分からない言葉がたくさん載っていた。 『死神』という特殊体質だからとか、日本を立て直すためだとか、〝キリナ〟は日本の平成時代みたいなところだとか・・・。 すべての内容が胡散臭かったが、一度行ってみたいと心の中で思っていた。 「実際に行った人もいる。  実在するのだろう。  行くか?」 前から、日本を変えたいとは思っていた。 何に対しても、実行するのは宣言してから1年ほど経ってから。 綺麗事を並べるだけで、行動には移さない。 それが今の日本だ。 〝キリナ〟に行って、日本を変えられるなら安いもんだ。 それだけで日本を救えるなら・・・ 「行く。〝キリナ〟に行きます!」 そう言うと校長は、〝キリナ〟への行き方など、大事なところを優しく説明してくれた。 「俺にも、詳しいことはわからない。  だが、ただ一つ。  〝キリナ〟での生活はそう甘くはない  ということだけは言える。」 「・・・。」 話が終わると、学校に置いていた荷物を持ち帰る準備をした。 「今日の午前1時、近くのカナリア教会に行くんだぞ。  そこで、〝キリナ〟に連れて行ってくれる  〝キリナ〟人の男性が待っているらしい。」 「はい。」 「一応、お前は転校したとみんなに伝える。」 校長と教職員にお礼を言って、まりは学校を出た。
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