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花音が戻ってきたのはそれから3分も経ったか経たなかったかのくらいの時間だった。
待ちくたびれたと言わんばかりに箸でお弁当を叩くと彼女は「お待たせ」と小さく笑い、わたしの目の前の椅子に座る。
「またせないでよばーか」
「加奈乃、さきに食べてるくせになにを言うのよ……」
「だってお腹すいたんだもーん」
口を尖らせすねた表情をする。
もうくせになったその表情はいつだって作れるようになって、普段の会話にも勝手に出てきてしまう。
いったい、いつからこんなのを覚えたのか。
二つ目の卵焼きにかじりついた時、先ほどの花音の会話を思い出し「あ、」と、言葉を続けた。
「なんで彼氏と別れたの?」
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