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止まらない涙をそのままに、僅かに嗚咽を漏らしながら何とか伝えた俺はユウジの胸辺りに顔を埋めて泣いた。
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「…ほんまに俺は考えなしや、改めて考えたって結局自分勝手やった…」
俺が大分落ち着いてきた頃、自嘲気味に呟いてからほんまにごめん、と何度目か分からないほど言われた言葉を口にしようとするユウジに、俺は待ったをかけた。
「もう、ごめんはいやや…聞きたない」
「……おん、せやな。今はこれや」
そう言って目線を合わせるために起き上がったユウジは俺の身体を持ち上げ膝に乗せ、ジッと見つめてきた。
「謙也…ずっと、ずっと好きでいてくれておおきに。大好きやど」
「ん、俺も…ずっと変わらずユウジが大好きやで」
暗い暗い室内で廊下の光だけが僅かに射しこむ。
照らされた床に写ったのは、一つに重なった二つの影だった。
END
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