その原因は

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今は放課後。 部活以外に残ってる生徒などはおらず、教室の中は俺以外には誰もいなかった。 「ひっく、う…くッ」 本当は叫びだしたいのを必死に抑えながら、教室の隅で縮こまる。 何処の教室だなんてわからないけど、人がいなければそれで良かった。 「――…謙也さん」 聞こえてきたのは可愛がってる後輩の声。 「っ……な、んで?」 驚いて顔を上げると、やっぱり生意気で可愛いげのない顔をした財前の姿。 でも…いつもと少し雰囲気が違う――…至極真面目な顔をしてる。 「ね、謙也さん。そないに眼腫らしてどないしたんスか」 ゆっくりと近づいて来て、側でしゃがみ込みながら言われた言葉に俺は俯くことしか出来なかった。 「……一氏先輩」 「ッ…!!」 その名前を聞いた途端にビクリと肩が跳ね上がる。 そのことに下唇を噛んで俯けば、財前は正面から顔を覗き込んできた。 .
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