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「謙也さん」
「…………なん?」
「…俺ならアンタを泣かせない」
「……へ?」
財前の口から紡がれた言葉にポカンと口が半開きになる。
「俺ならずっとずっと一緒におって、幸せにする…」
「ざ、いぜ……」
「謙也さん、俺と付き合うてくれませんか」
真っ白になった頭の中で、その言葉をすぐに理解することが出来なかった。
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真面目な顔で両手をギュッと握りしめてくる財前に俺は見つめ返すことしかできないでいた。
何言うてんのや自分!なんて何時もみたいにツッコミ返すには状況が悪すぎる。
それに目をみればわかるから…ああ、本気なんだって。
「一氏先輩がおったから、半分諦めてた。でも辛そうなアンタ見てたら無理や」
「財前ッ…!!」
強く強く名前を呼んで、待っての意味を込めたけど失敗に終わる。
「謙也さんがずっと好きやった」
音一つしない空き教室で、財前の声だけが教室中に響いたように感じた。
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