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不安
『俺んこと、考えてみて下さい』
あの後そう告げて去っていった財前を、俺は見送ることしか出来なかった…
今の俺は酷い奴、残酷な奴どっちなんやろ?
……両方やろ、か
だって答えなんて解ってる。
悩む必要なんかなかった。
でも自分でも解るくらい不安定な心――…
俺は何がしたいのかを見失った気がした。
┼┼┼┼┼
今日は部活がない。
下校時刻はだんだんと近づいてきてるから、校内で残ってるのは多分俺だけ。
「ユウジは待ってる…やろ、か…」
待っててくれてるなんて断言出来ない自分が嫌になる。
誰もいない廊下を早足で通って玄関先の下駄箱へ向かう。
やっと見えてきたと思って本格的に駆け出そうとした瞬間―…
「っ!?」
急に空き部屋から手が伸びてきた。
少し痛いくらいの力で腕を掴まれて、とっさの事に対応出来ずにいた俺は、そのまま室内に引きずり込まれた。
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