呪い

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中田は居間に通され、喜平と向かい合って座卓に座る。 「突然電話で呼び出して悪かったな、 中田さん」 いえいえ、という中田の返事に笑顔で答え、喜平は話しを続ける。 「実は少々困った事になっちまってなあ、中田さんに頼みたい事があるんだよ。 ああ!金を貸せとか、あんたの所から仕入れ先変えるなんて話しでは無いからその辺は安心して欲しいんだがね」 仕事関係でも金の話でも無い事に少々安心した中田であったが、仕事でも金でもない頼み事とはいったい何なんだろうと、正面に座る喜平の顔を見ると喜平は何やら難しい顔をしている。 どんな面倒事を頼まれるのだろうか…… いつもは少々言い辛い事もズバズバと言う喜平の、こんな顔をみるのは初めてだった。 中田は覚悟を決めて喜平に話しを促す。 「喜平さん、私が役に立つかは解りませんが、おっしゃってみてくださいよ」
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