呪い

5/44
前へ
/71ページ
次へ
「う~ん……」  喜平は難しい顔をしたまましばらく目を閉じ、何かの決心を固めてから、ゆっくりと目を開け、中田に話だした。 「頼み事態はね、大したことじゃあないんだよ。 しかしねえ、正直悩んだもんさね、こういう事を人に頼むってのはどうもいかん。しかしいかんともしがたい事態になってしまってねえ…… 親戚縁者に頼んでみたものの、断られちまって、近所のもんもたよりにゃあならない。 で、真に申し訳ない事なんだが中田さん、あんたに頼めればと思ってわざわざ来てもらったんだよ」 「はあ…… で、いったい何なんです?」 いやね…… と言って喜平は、座卓の下から緑色の風呂敷に包まれたモノを取り出し、中田の前に、丁寧に置いた。 そして大きく一つ、ため息をつくと中田を真っ直ぐ見つめ意を決した様に言った。 「こいつなんだがね、2週間程預かってもらいたいんだよ」
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加