呪い

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 喜平の頼みが、想像していた物より大した事がなかったせいで、中田は、 「はあ……」 と間抜けな声で返事をする。  どんな無理難題を言われるのかと思い緊張していたせいで、力が抜けてしまったのだ。 「いやいや、コイツを預かって貰うにあたってね、1つ守ってもらいたい事があってな、そいつが少々厄介な事なんだが…… 中身を見ないで欲しいんだよ。 と言うか、風呂敷から出さんでもらいたいんだが…… どうだい、中田さん、預かってくれんかね?」  喜平は座ったまま中田に頭を下げる。 「いやいや喜平さん、頭を上げてくださいよ。 2週間ですか、預かるのやぶさかではないのですが、せめて理由くらい聞かせてくださいよ…… なんなんですか、風呂敷から出しちゃいけないって? 中身も教えてもらえないんじゃ預かる私だって困りますよ……」 「中身はな、鏡だよ、鏡。 昔の…… 何と言ったかね…… ああ、銅鏡といったかね。 そうそう、銅鏡だよ」 「で、何でその銅鏡を見てはいけないんですか?」
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