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「理由なんだがね、その……
なんというかな、言いにくいんだがね……
呪われているみたいなんだよ」
「呪い……
ですか」
「そもそも先月蔵を片付けていたらな、見たことが無い箱が奥からでてきてね、箱を開けて見ると何かが書かれた紙に包まれた物がはいっとったんだ。
でな、包まれた紙から中身を出して見たら、綺麗な銅鏡だったんだよ」
「はあ」
「あんまり綺麗なもんだから妻に頼んで床の間に飾ってみたんだが……
暫くして妻が右手に怪我をしてね……」
「怪我……
ですか……」
「いやいや、怪我と言っても大した怪我じゃあなかったんだが、草刈り中に鎌でちょっとな、手を切った。
そんでまた暫くして、今度は息子がな、右手を怪我してなあ……
で儂もご覧の通り」
そう言って喜平は包帯の巻かれた腕を揺らす。
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