呪い

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「それで、2週間私に預かってほしいと……」 中田がそう言うと喜平は姿勢を正し、座っていた座布団を自分の横にずらすと、中田に向かい、額が畳に擦れんばかりに土下座した。 「こんな事を頼んでしまって本当に申し訳ないんだが、2週間だけ、こいつを預かってもらえんだろうか? 風呂敷さえあけなけりゃなんの問題も無いと聴いとるし、現に風呂敷に包んでから誰も怪我はしとりゃあせんのだ…… しかしこいつが有る限り、嫁も妻も帰ってこない…… 頼める所がもうあんたしか残ってないんだよ…… 頼む!2週間だけ、預かってもらえんだろうか……」 中田は悩んだ。 そう言う類いの物は全く信じていないのだから、預かる分には全く問題は無い。 しかし中身が確認出来ないとなると、返した時に問題があった場合、何も言えなくなってしまう。 喜平に限って難癖をつけることは無いとは思うが…… そう思い中田は喜平に条件をつけた。 2週間後、風呂敷の中身が変わっていようが壊れていようが、自分は一切の責任を持たないと。 喜平は条件を快諾し、条件を紙に書き出して捺印までした。 こうして中田は喜平から風呂敷に包まれていた物を受け取り、家に帰ったのだ
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