呪い

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そして今日。 中田はデスクの上に置かれた緑の風呂敷に包まれた銅鏡を持ち上げ、 全体を見る。 風呂敷越しに銅鏡を眺めながら、 こう言うモノを自宅にも置いておけ無いと思った。 中田自信は、呪いの存在何てものは信じていない。 たが、自宅に置いていて、仕事中に妻が開いてしまうかもしれないし、 あるいは小学生になる息子が風呂敷を開けてしまうかもしれない。 呪いは信じていないが、喜平の話は決して気持ちの良い物では無かった。 妻や子供に喜平に聞いた話しをするのも気が引ける。 かといって家にも置いてはおけないので会社に持って来たものの…… 気になる。 呪い云々ではなく、気になる。 中身が見たくてしょうがない。 午前中もカバンの中に入れて置いた風呂敷が気になってしょうがなかった。 昼休みに机の上に出したものの、喜平との約束が気になり、とうとう風呂敷を開けられなかった。
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