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風呂敷に包まれたソレを持ち上げ、眺め回していた時、
風呂敷の結び目が緩んだのか、硬い、重い音と共にソレが机の上に落ちた。
ソレは、緑色をした銅鏡だった。
しまった!
慌てて机の上に落ちた銅鏡を慌てて掴もうとするとき、
一番近くのデスクに座る、澤村美保と目が合った。
美保は中田と目か合ってから手にした銅鏡に視線を移す。
その瞬間、
「痛!」
と声をあげ、美保は左手で右手の薬指をおさえた。
すると、ソレに気が付いたのか、美保と同じ事務職の伊良部玲子が美保に近付き、
「良く効く絆創膏があるから……」
と美保に言い、2人で給湯室に消えて行った。
中田は少しの間、ポカンとし、我にかえると慌てて風呂敷で銅鏡を包み、
結び目がほどけない様、固く、固く結んだ。
今のはいったいなんだったのだ……
美保が視線を私から銅鏡に移したとたん、怪我をしたようだったが……
手当てが終わったら伊良部君と美保君に様子を聞いてみよう……
しかし、彼女、銅鏡を見たとたん怪我をしていた様子たったが……
中田はそこまで考えた時、右手の薬指に鋭い痛みを感じ、
反射的に、銅鏡の包まれた風呂敷から手を離した。
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