呪い

11/44
前へ
/71ページ
次へ
風呂敷に包まれたソレを持ち上げ、眺め回していた時、 風呂敷の結び目が緩んだのか、硬い、重い音と共にソレが机の上に落ちた。 ソレは、緑色をした銅鏡だった。 しまった! 慌てて机の上に落ちた銅鏡を慌てて掴もうとするとき、 一番近くのデスクに座る、澤村美保と目が合った。 美保は中田と目か合ってから手にした銅鏡に視線を移す。 その瞬間、 「痛!」 と声をあげ、美保は左手で右手の薬指をおさえた。 すると、ソレに気が付いたのか、美保と同じ事務職の伊良部玲子が美保に近付き、 「良く効く絆創膏があるから……」 と美保に言い、2人で給湯室に消えて行った。 中田は少しの間、ポカンとし、我にかえると慌てて風呂敷で銅鏡を包み、 結び目がほどけない様、固く、固く結んだ。 今のはいったいなんだったのだ…… 美保が視線を私から銅鏡に移したとたん、怪我をしたようだったが…… 手当てが終わったら伊良部君と美保君に様子を聞いてみよう…… しかし、彼女、銅鏡を見たとたん怪我をしていた様子たったが…… 中田はそこまで考えた時、右手の薬指に鋭い痛みを感じ、 反射的に、銅鏡の包まれた風呂敷から手を離した。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加