呪い

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先程美保は右手に絆創膏を巻いて出てきたから、 玲子が薬箱でも片付けているのだろうと思い、 中田は玲子に声をかけた。 「玲子君、私も怪我をしてしまってね、 悪いが私にも良く効く絆創膏をくれないかな?」 声をかけられた玲子は、 はあ と、何時もの様に無表情で中田に返事をし、 再び棚の中に手を入れて、 中田には見えない様に何やらごそごそと手を動かしていた。 暫くして玲子は棚から手を離し、中田に向かい絆創膏を差し出した。 その絆創膏は、外装が剥がされ、後は指に貼るばかりになっていた。 「ありがとう」 そう言って絆創膏を受け取り、中田は自分の右手薬指に絆創膏を巻き付けた瞬間 薬指に激痛が走った。 「な、なんだコレ!? 物凄く痛いよ!」 絆創膏をした薬指を、左手で握りしめ、思わず涙目になりながら 中田は玲子を見る。 玲子は表情を変えず、 「はあ、 でも良く効きますから、ソレ」 と言い、涙目の中田を残して給湯室から出て行ってしまった。
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