呪い

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「いらっしゃい」 忘我のドアを開くと、マスターが2人に声をかける。 「あ!岸本さん、こんばんはー 今日は上司と一緒に来ちゃいました」 美保が、やはり何時もの席に座る岸本と、カウンターの内側からおしぼりを出そうとしていたマスターに声をかけた。 カウンターに出されたおしぼりのある席に、美保と中田は着席した時、美保は、マスターと岸本が、ひきつった表情でどこかを見ているのが分かった。 ドコを見ているんだろう? と、疑問に思い、視線の先を追って見ると、その先は、中田の膝の上に置かれたカバンだった。 へんなの。 取り敢えず気にしない様にしようと思い、中田に声をかける。 「部長、ここのブレンド珈琲、とっても美味しいんですよ。 私、酸味が少ない珈琲が好きなんですけど、ここのブレンド珈琲、酸味も少ないし風味も豊かで大好きなんです」 「そうなんだ。 じゃあブレンド珈琲、貰おうかな」 「ありがとうございます。 美保ちゃんもブレンドでいいのかな?」 2人の会話を聴いて、マスターが尋ねた。 「はい! ブレンド珈琲2つ、お願いします」 「了解 少々お待ちくださいね」 そういうと、マスターはケトルでお湯を沸かし、その間にカップを温め、豆を挽きだした。
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