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マスターは珈琲を淹れている最中も、美保の上司、中田が持つカバンを気にしている様だった。
そんな様子がやはり気になり、美保はマスターに尋ねてみる事にした。
「マスター、どうしたんです？
何かおかしいですよ、どうしてそんなに部長のカバンを気にしてるんですか？」
そう言われて、マスターは一瞬ビクっと肩を震わせた。
マスターは平静を装い、落ち着いた素振りで、淹れたての珈琲を2人の前に置いた。
「ブレンド珈琲、お待たせしました。
あ、中田さんとおっしゃるんですね、
今後もよろしくお願いします」
珈琲を置いてから、
ふー
と、少し息を吐いて、マスターは中田に話しかけた。
「先程から失礼な真似をしてすいません……
しかし、中田さんが持っているカバンの中にあるソレが気になってしまいまして……
見せて欲しいとはいいませんが、よろしければ少し、ソレについて聞かせてもらう訳にはいきませんかね？」
「あ……
コレですか……」
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