呪い

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「しかしこれは…… 少々厄介ですね……」 そう言うと、マスターはカウンターの上に置かれた風呂敷を見る。 「中田さん、その、喜平さんという方の家にファックスはありますか?」 「ええ、喜平さんの注文はファックスで頂く事も多いので、有りますよ」 「それは良かった。 呪いを解くにしても、もう少しコレについての情報が欲しいんですよ。 初めてあった私を信用して欲しいと言っても無理な話しなんてのは十分承知してはいるんですが…… 中田さん、ここはちょっと私に騙されたと思って、コレを包んでいたという紙を喜平さんに頼んで、ファックスでここに送って貰う事は出来ませんかね?」 マスターは優しい微笑みを浮かべながら、中田に一枚の名刺を差し出した。 差し出された名刺には店の名前と住所、電話番号とファックスの番号が書いてあった。 「あ!私ここの電話番号、知らなかったですよ! 部長ばっかり名刺を貰えて羨ましいです」 「ああ、こんな物で良かったら美保ちゃんにもあげるからさ」 美保はマスターから名刺を貰うと、嬉しそうに名刺を眺めた。 「部長、 私ここに通って2ヵ月位しかたってないですけど、マスター、とっても良い人ですよ。私も相談にのって貰った事があったんですけど、とっても良くして貰いましたし。 それに、こういう言い方はアレですけど…… こうしてお店構えてる手前、騙したりとかしにくいと思いますし…… ここはマスターにお願いして見るのが良いと思うんですけど…… どうでしょう?」 美保に言われて中田は少しの間試案して、まあ気休め位にはなるかもしれないと思い、喜平に電話をしてみる事にした。
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