鳥かご庵

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――三年後―― 「しのっ! いい加減にしなさい。ここを出るってどういう意味なの!」 黒髪の長身を紺の制服で覆い、彼は大きな荷物を片手に玄関に居た。 「そのままの意味だよ。この家を出る」 彼は冷たく言うと、取っ手を回した。 「だから、その理由を聞いているのよ」 「そんなの決まってんだろ! 俺だって高校だぜ……いつまでも門限とか面倒なんだよ」 怒鳴るように言う彼の気持ちもよくわかる。 むしろ今までよく耐えたとさえ言える。一度の人生縛られ続けられるなど。 「しの……」薄暗い廊下から悲しそうに老婆がしのを見た。 「行くなら明日にしなさい。夜は死神が……」 「それがウゼーつってんだよ」 勢いよく扉を開け闇夜へと消えていった。 「しのっ!」 老婆は追いかけようとする女の手を強く握っりひき止めた。 不思議な事に開いた扉が勝手に閉まり、まるで家から出るなとばかりに 鍵がガチャリと音をたててしまった。 そして老婆には出ていった彼の後ろに人影を見ていた。 むろん老婆は其を死神と確信していた。
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