大好きなお兄ちゃん

9/9
前へ
/13ページ
次へ
「懐かしいなぁ、そんなこともあったっけ」 なんだか急に恥ずかしくなって、少し俯きながら呟く。 「このころの美鈴は一番かわいかったなぁ。」 「お兄ちゃん!?聞き捨てられないよ!?今の美鈴は可愛くないの?ねぇ、ねぇ、ねぇ!」 「ご、ごめんごめん」 詰め寄ったのが怖かったのか、少し怯えられながら謝られた。 最初の少し恥ずかしくなったのはどこへやらだ。 「とにかく…この写真は美鈴が預かっとくね」 「いいけど、なんで?」 ぺりぺりと上の透明なシートを剥がしながら、お兄ちゃんは不思議そうにきいてきた。 「そりゃ……」 こんな酷い泣き顔見られたくないし、それに… 本当の気持ちだったら、簡単に「結婚する」なんて言えないでしょう? 若気のいたりでのプロポーズなんて嫌。 法律が、国が認めてくれなくてもいい。 本当にこの気持ちが固まったら、また私からプロポーズするから。 まっててね? お・に・い・ちゃ・ん。 ふふって笑っていると、お兄ちゃんがぶるっと震えた気がした。 こんなに暑いのに。 おかしなお兄ちゃんだなぁ。 <end>
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加