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「懐かしいなぁ、そんなこともあったっけ」
なんだか急に恥ずかしくなって、少し俯きながら呟く。
「このころの美鈴は一番かわいかったなぁ。」
「お兄ちゃん!?聞き捨てられないよ!?今の美鈴は可愛くないの?ねぇ、ねぇ、ねぇ!」
「ご、ごめんごめん」
詰め寄ったのが怖かったのか、少し怯えられながら謝られた。
最初の少し恥ずかしくなったのはどこへやらだ。
「とにかく…この写真は美鈴が預かっとくね」
「いいけど、なんで?」
ぺりぺりと上の透明なシートを剥がしながら、お兄ちゃんは不思議そうにきいてきた。
「そりゃ……」
こんな酷い泣き顔見られたくないし、それに…
本当の気持ちだったら、簡単に「結婚する」なんて言えないでしょう?
若気のいたりでのプロポーズなんて嫌。
法律が、国が認めてくれなくてもいい。
本当にこの気持ちが固まったら、また私からプロポーズするから。
まっててね?
お・に・い・ちゃ・ん。
ふふって笑っていると、お兄ちゃんがぶるっと震えた気がした。
こんなに暑いのに。
おかしなお兄ちゃんだなぁ。
<end>
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