大好きなお兄ちゃん

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―――――――― 「みすず!いいか?おすぞー!」 「うん!いいよー!」 それっという掛け声と一瞬に美鈴の背中がぐんっと前に押された。 この通常の滑り台よりも長いこの滑り台では、こうやって押すことでスリリングな気持ちになれると この時期美鈴たちには大流行だった。 が、 「きゃっ!!」 「みすず!?」 長いあまり、勢いがつきすぎて滑り終わったあとにこけてしまった。 「ふえっ、いた、いたいよぉぉ」 だんだんおっきなめに涙がたまってくると、お兄ちゃんはあたふたして言った。 「ご、ごめんな!痛いなぁ、よしよし」 「うぅー…」 「よし!じゃあブランコ乗るか!!お兄ちゃん今度は優しく押すよ!」 「本当!?」 ぱぁぁって美鈴の顔は明るくなった。 だって、この公園のブランコは人気なくせに1個しかなかった。 小さく、きが弱い当時の美鈴には、ガキ大将的男子からブランコを譲ってもらうことは不可能に近かったから。 でもお兄ちゃんがいたら別だ。 なんてったってガキ大将よりも年が上だし、かっこいいんだもん! ガキ大将はお兄ちゃんと美鈴がブランコに向かうのを見ると、すこし怯んだあとにどけてくれた。 そのときはゆっくりと、ブランコの楽しさと 背中にあたるお兄ちゃんの優しい手を堪能できた。
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