5/17
104人が本棚に入れています
本棚に追加
/99ページ
 居間に入る。 「おはよう」  誰も挨拶を返してくれなかった。悲しい。  テーブルにつく。鮭の塩焼きと目玉焼き、ご飯と味噌汁があった。旨そうと思った。待っていると妹が来た。 「早く食べちゃって、片付かないから」 「お前食べないの?」 「もう食べちゃったよ」 「ふーん。母さんは?」 「もう仕事にいったよ」 「父さんは?」 「さっき帰ってきて、もう寝ちゃった」  少し悲しい気持ちになる。まあいい一人の朝飯っていうのも粋なものだ。 「いただきます」  しょうがないから、一人で黙々と食べる。旨い。  ふと妹を見ると少し睨まれた。早く食べ終わろう。 「ご馳走さま」 「お粗末様」  それから顔を洗って、歯をみがく。制服に着替えて。鞄をもった。鏡をみて、ササッと髪を整える。男子高校生のたしなみだ。いやわからないけど。  家を出る時には8時36分だった。妹はもう先に出ていた。少し悲しい。  ふと向かいの家をみる。少し普通より大きな家。すると丁度むかいのおばさんが出てきた。美人だ。  おはようございますと挨拶をする。おはようと返してくれた。  朝から泣きそうになった。早く学校に行こう。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!