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居間に入る。
「おはよう」
誰も挨拶を返してくれなかった。悲しい。
テーブルにつく。鮭の塩焼きと目玉焼き、ご飯と味噌汁があった。旨そうと思った。待っていると妹が来た。
「早く食べちゃって、片付かないから」
「お前食べないの?」
「もう食べちゃったよ」
「ふーん。母さんは?」
「もう仕事にいったよ」
「父さんは?」
「さっき帰ってきて、もう寝ちゃった」
少し悲しい気持ちになる。まあいい一人の朝飯っていうのも粋なものだ。
「いただきます」
しょうがないから、一人で黙々と食べる。旨い。
ふと妹を見ると少し睨まれた。早く食べ終わろう。
「ご馳走さま」
「お粗末様」
それから顔を洗って、歯をみがく。制服に着替えて。鞄をもった。鏡をみて、ササッと髪を整える。男子高校生のたしなみだ。いやわからないけど。
家を出る時には8時36分だった。妹はもう先に出ていた。少し悲しい。
ふと向かいの家をみる。少し普通より大きな家。すると丁度むかいのおばさんが出てきた。美人だ。
おはようございますと挨拶をする。おはようと返してくれた。
朝から泣きそうになった。早く学校に行こう。
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